#74 『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)

#74 『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著)

June 27, 2026 · 33 min

About this episode

このエピソードでは、チョ・ナムジュの著書『82年生まれ、キム・ジヨン』を通じて、現代社会における女性の生きづらさや文化的な差別について議論します。

今回は、 コンの選書 。 チョ・ナムジュさんの著書『82年生まれ、キム・ジヨン』 (斎藤真理子 訳、筑摩書房)を取り上げます。 韓国で130万部を超え、日本でも社会現象となった本作は、ある日突然、別人が憑依したような言動を始めた33歳の女性、キム・ジヨンの半生を淡々と描いています。 その記録は、一人の女性の物語を超え、現代社会に根深く残る女性の生きづらさを浮き彫りにしています。 「日常に潜むマイクロアグレッションと無意識の連鎖」をキーワードに、議論は以下の3つのトピックを中心に展開しました。 ・「あるある」の中に隠された絶望 :大きな事件が起きるわけではないが、兄弟で傘を分ける際や食事の優先順位など、日常の些細な場面に積み重なる「女だから」という理不尽。当事者ですら「当たり前」として流してきた痛みが、言葉によって暴かれていく衝撃について。 ・淡々としたカルテ調が呼ぶ「没入体験」 :物語は精神科医のカルテという形式で非常に冷徹に綴られますが、それが逆に読み手の感情を激しく揺さぶり、「心の中で号泣した」「血が吹き出しそうな感覚」といった強烈な読後感を生む理由を考察します。 ・世代を超えて受け継がれる「呪縛」 :祖母が孫の中で弟を一番可愛がる姿など、差別が家族や文化の中でナチュラルに継承されていく構造。韓国と日本の類似点や、徴兵制などの独自の背景も含めた社会の歪みを深掘りします。 この回では、自身の経験と重ね合わせ「しんどいと言えずに流してきたことが言葉になっている」と語る オカの激しい共感 と、未読の状態から「男性としてどう響くのか」を慎重に探る カフカの視点 、そして臨床心理学を学ぶ立場から「個人の性格ではなく文化的な形成」として本作を捉える コンの分析 を交えて議論します。 特に、読書会における男女の反応のズレ(ミステリー的なギミックとして消費してしまう危うさ)や、性別による「期待値の壁」をいかに超えるかという点について深く語り合います。 最終的に、私たちは「誰かを加害者に仕立ててヘイトをぶつけ合うのではなく、自分の中にあるマジョリティ性にも気づきながら、いかにお互いの『内側の声』を理解しようとするか」という、共生のための誠実なスタンスに立ち返ります。

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